アイリス

すきなものをすきなときに

「LoverPretend」プレイ感想

フルコンプしたので感想という名の自分用メモです。ネタバレしか書いていません。

読んでも大丈夫な方は、追記からどうぞ。

 

***

 

現代が舞台&雰囲気が暗くない乙女ゲームが大好きなので、ハマらないわけがなかった。とても楽しかったです。

ダウンロード版を購入していましたが、フルコンプ後にステラワースの小冊子欲しさにパッケージ版も購入してしまいました。それと「はじまりは、ニセモノの恋」という少女マンガみたいなキャッチフレーズも、とても好きでした。

ひとまず、ゲームシステムなどについてざっくりと。

 

◆構成

選択肢によって好感度を上げてストーリーを進めていくノベル形式の乙女ゲーム。

ただ、制限時間内に選択肢を選んでいく「プリテンドタイム」という独特のシステムがありました。しかし難しいシステムではないです。プリテンドタイムに入る前にはセーブさせてくれたり、クリアしたことのあるプリテンドタイムはスキップすることができます。とても親切なシステム設計です。

シナリオについてはEpisode03までが共通ルート、Episode04から個別ルートでした。浅木先生はEpisode03から個別ルートです。シナリオが長いと途中で飽きてしまう性格なので、個人的にはちょうど良い長さでした。

選択肢による好感度の上昇は分かりやすく、狙っている攻略対象の個別ルートに入りやすいです。ステータスの見方も複雑ではないため意図せずBAD ENDに進んでしまうこともなく、安心してプレイできます。

そういえばモーショングラフィックス(で合ってるんですかね?)が演出に使われていて、細かい部分まで作り込んでいるなと思いました。数馬がちゆきちゃんの背中を押す演出、とても好きでした。

 

◆攻略対象

キービジュアルの4人と浅木先生で、合わせて5人です。

攻略制限は浅木先生のみ。4人の攻略が終わった後にルートが解放されました。メイン4人については攻略制限無しです。気になるキャラクターから攻略可能です。

 

◆イラスト

とても好きな絵柄です。

そしてシナリオのボリュームに対してスチルが多かったです。差分が多いからスチルが多いと感じるのかな?とも思ったのですが、そんなことはなかったです。予想外の嬉しさでした。

 

◆エンディング

HAPPY END、NORMAL END、BAD ENDの三種類。

BAD ENDが思った以上に多くて心が折れそうでした…。「エンディングリストは埋めなくてもいい。スチルはコンプしたい。」という方はHAPPY ENDとNORMAL ENDだけを回収でも良いと思います。

 

◆音楽

全体的に明るい雰囲気のBGMが多かったです。

オープニングとエンディングがとても好きなので購入させてほしい。

 

***

 

攻略については「数馬→由稀人→春三→理玖→浅木先生」の順でプレイしました。

以下、攻略順に各キャラについての感想を。

 

■上久保数馬

中学からの親友。見習いヘアメイクさん。

家族みたいな存在を一人の異性として意識していくという、王道のような流れだけど予想外の展開もあるシナリオ。あと唐揚げが食べたくなる。

偽物の恋人になる経緯は、ちゆきちゃんを庇うために咄嗟についた嘘が広まってしまい、ほとぼりが冷めるまで恋人のふりを続けようということでした。

恋人らしさの勉強のためにデート帰りに映画のワンシーンを再現するのですが、その時に数馬を一人の異性として意識してドキドキするというのは、幼なじみ設定でよく見るやつですね。数馬の仕事場見学で自分以外の女性が数馬の手によって美しくなっていくのを見て、嫉妬のようなもやもやした気持ちを抱えるというのも、幼なじみ設定でよく見るやつですね。

王道な演出は嫌いじゃない、むしろ好きだからもっとやってくれ、なんて思いながらプレイしていたら、この後の展開が予想外すぎてちょっと混乱しました…。

交通事故で数馬が記憶喪失になるとは、一体どういうことなのか。

記憶を思い出すまでの数馬とちゆきちゃんのやり取りは見ていて辛かったです。その中でも特に辛いと思ったのは、ちゆきちゃんが自分の恋人だと知った時のやり取り。偽物の恋人という部分までは知らないから、「恋人であるちゆきちゃんのためにも思い出したい」とまっすぐに伝えてくるんですよね。心が痛い。

数馬の記憶が戻ってからの展開も、予想外でした。でもちゆきちゃんの一番近くにいた存在だからこその心の闇なのかな、と。ちゆきちゃんの心の広さにただただ尊敬。

 

■瀬名由稀人

女性に人気なファッションモデルさん。

花言葉が好きなので由稀人さんルートでカクテル言葉という存在を初めて知り、膝から崩れ落ちました。

チャラチャラした人って、「本当は真面目な人」であるか若しくは「とんでもない闇を抱えている人」であるかのどちらかだと思っているのですが、由稀人さんは前者でした。カウンセリングゲームじゃないです。やったね。

オーディション合宿で隠れて演技の練習をしている真面目で努力家な面を見せられたり、周囲をきちんと見てさりげなく気遣う面を見せられたり……。良い意味で頭を抱えました。

由稀人さんルートについてですが、由稀人さん自身の「夢を叶えるまでの過程」が描かれているなと。ちゆきちゃん同様に由稀人さんの夢を応援しながらシナリオを読んでいました。

夢を叶えるために、SNSで普段は見せない由稀人さんの表情を発信することで「俳優としての瀬名由稀人」を世間が求めるように仕向けた演出は、すごいという言葉しか出てこなかったです。そして終盤の再オーディションの演技で本心を語る姿には泣きそうになりました。最後には合格して俳優という夢を掴み取るとか、なんだこれ。格好良すぎか。

それと由稀人さんルートではちゆきちゃんの「【兄かもしれないから好きになってはいけない】と思い悩む」姿も描かれていました。これ、私が見たかったやつ。そんな思い悩んでいたちゆきちゃんを優しく穏やかに受け止める由稀人さん。惚れるしかなかった。

綺羅梨ちゃんのことについても少しだけ。私の苦手なタイプの女の子か?と思ったら、ただの格好良い女の子でした。幸せになってほしい。

 

■真木野春三

真木野監督の御子息。クールな帰国子女さん。

春三くんの成長を見守るシナリオ。あと目がキラキラしている時の表情がとても可愛いです。

初めて会った時は警戒心が強そうだな、近寄りがたいなと思っていました。ちゆきちゃんも春三くんも、真面目で会話が苦手。似た者同士の二人なので、序盤では春三くんとちゆきちゃんは仲良くなれるんだろうか…と心配しながらシナリオを読んでいました。

でもちゆきちゃんが頑張って話しかけたおかげなのか、徐々に春三くんも警戒心が薄れていくんですよね。春三くんから話しかけてくれることも増えたし、自分がオタクであるという最大級の秘密を打ち明けてくれる。

さらにはオタク活動に付き合ってもらえないかとちゆきちゃんに相談するんですよ。かなり仲良くなっていて安心しました。ちゆきちゃんとだけでなく、オタクに偏見のある春三くんファンの大学の女の子たちや、共通の趣味を持った大学の同級生とも、衝突しつつも理解し合い仲良くなっていく。春三くんが頑張って殻を破り、視野をどんどん広げていくのは嬉しかったですね。

途中、お父様との衝突によってオタク趣味とかちゆきちゃんとか、自分の好きなものを手放そうとします。この時に春三くんが自分の殻に再び閉じこもってしまうのではないか…?とヒヤヒヤしました。

でも周囲の人たちの支えもあって手放さずに済みました。よかった。特に数馬には感謝してもしきれないレベル。お父様ともお互いの誤解が解消し、家族仲も修復。真木野家+ちゆきちゃんの四人でクリスマスにお出かけは和みました。春三くんのお母様が特に可愛かった。

終盤は、問題がすべて解決していたので平和でした。安心してシナリオを読めました。

最後にエンディングについて言いたいので少しだけ。スチルを見て、それぞれの位置が逆では…?と思ったのは私だけだろうか。

 

■西嶋理玖

実力ある若手二世俳優さん。

演出がどれも好きすぎました。あとスイッチオフモード時の「うん」の言い方が可愛すぎました。

内面がなかなか見えずに理玖さんの言動に翻弄され、内面を知っても結局翻弄される。それが理玖さんルート。

「恋も愛も友情も存在せず、お互いの利益のみで成立された婚約者という名の契約関係」とか、あまりにも自分好みすぎる設定でした。ありがとうございました。

婚約者のふりを引き受けるに至るまでの理玖さんとちゆきちゃんのやり取りは、他ルートにはない緊張感がありました。この時の理玖さん、とても治安が悪い。だがそれがいい。

婚約という契約をしただけなのでお互いに個人への興味はなく、心の距離が遠くて好感度はゼロ、みたいな状態でした。

理玖さんが本当にやりたいことを打ち明けたのをきっかけに、ちゆきちゃんは理玖さんの内面を少しずつ知っていき理玖さん個人に興味を持ち始める。一方で理玖さんは自身の夢を真っ直ぐに応援してくれて、演技していない時の素の自分をあっさりと受け入れてくれるちゆきちゃん個人に興味を持ち始める。そしてお互いの心の距離が近付いていく…という私が好きなパターンのやつです、はい。

途中、ちゆきちゃんが理玖さんのことを恋愛対象として好きだと気付いてしまったのに「契約だから絶対に想いを知られてはいけない」という苦しみを抱えている姿は、とても、しんどかったです…。

そういえば理玖さんルートのみ理玖さん視点のシナリオが無いんですよね。なので、理玖さんとの心の距離は近付いているはずだけれど、ちゆきちゃんに対して恋愛感情があるのか分からず、ほんの少しだけ不安がありました。(理玖さんの行動を見ていると、無自覚だけどちゆきちゃんのこと好きなんだろうな~と思いつつも、なんとなく信じきれず。ごめんなさい理玖さん。)

しかし告白シーンで理玖さんの想いをはっきりと聞くことができたので安心しました。両想いでよかったねちゆきちゃん…。

エンディングは、素のままに好きなことをちゆきちゃんと一緒に楽しんでいる姿が可愛くて癒されました。

最後に言いたいこととか。BAD ENDの「トラウマ」がトラウマになりそうなレベルできつかったです。

 

■浅木詠一郎

人気脚本家。ちゆきちゃんが通う大学の講師。真相ルート。

兄妹疑惑が浮上して、二人は結局どうなるんだろうか…?とハラハラしながらシナリオを読んでいました。しかし浅木先生のお父様が遺した手紙で色々と真相が判明し、浅木先生とちゃんと恋愛できて安心しました。

ただ、自ルート以外だと「浅木先生はちゆきちゃんが妹であると思い込んだまま生きていき、ちゆきちゃんは自分の父親がずっと判明しないまま生きていく」んですよね…?若干の恐怖を覚えてしまいました。真相は藪の中ですよ。こわい。

あと、他の攻略対象はNORMAL ENDもそれなりに明るいエンディングなのに、浅木先生はNORMAL ENDもBAD ENDに等しいエンディングでした。真相は藪の中で終わります。こわい。スチルとエンディングリスト回収のために読んだけど、もう見られない…。

 

***

 

最後に。

オトメイトさんはファンタジー設定の作品が多い印象があったので、現代を舞台とした乙女ゲームを出してきたのは意外でした。

「ごく普通の日常」を主軸とした乙女ゲーム、できればもっと出してほしいですね。