アイリス

すきなものをすきなときに

「三国恋戦記~オトメの兵法!~ 思いでがえし」プレイ感想

Vita版思いでがえし、フルコンプしたので感想を。

読んでも大丈夫な方は、追記からどうぞ。

 

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公式サイトを初めて見た時に、何故『ファンディスク』ではなくて『バラエティディスク』と書いてあるんだろうと思っていました。その疑問は、プレイして解決しました。

本編後日談だけでなく、本編補完エピソードやハチャメチャな三国世直しシナリオなど、多種多様です。確かに、これは『バラエティディスク』ですね。楽しませていただきました。

 

まずは全体的なお話を簡単に。

 

◆構成について

四つのパートで構成されています。

内訳は「永遠恋々」「思いでがえし」「三都賦」「三国漫遊記」になります。

各パートについての割合は、「永遠恋々」が1割、「思いでがえし」が1割、「三都賦」が2割、「三国漫遊記」が6割、という印象です。

どれも面白かったです。面白かったけれど、個人的にこの割合が納得出来ていません…。また、シナリオについては「三国漫遊記」以外は選択肢が登場しないので、ゲーム性は無いに等しいです。特典ドラマCDとか、SSを読んでいる気分でした。

各パートについての細かいお話は後ほど。

 

◆おまけ的な機能とか

今回、これが一番良かったと思ったのが、本編の時にも存在したボイスコレクション。

本編との違いは、各キャラクター毎に台詞を保存出来る事です。なので、保存できる件数がとても増えました。これは…とてもありがたい。

ただ、正直言うと本編の時の方が保存したい台詞がたくさんあったので、本編でもキャラクター毎に保存出来るように分けてほしかったです。

あと壁紙も結構好きです。壁紙を設定するわけではないけど、ついつい見てしまいます。

 

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以下、各パートについての感想を。とても長いです。

「永遠恋々」のみ各キャラについての感想も書いているのでさらに長いです。

 

◎永遠恋々

本編後日談の、さらにその後の話。

シナリオの内容は全て好きですが、思っていたよりもシナリオが短くて驚きました…。

以下、各キャラの感想を簡単に。

 

■玄徳

花ちゃんが見る夢、癖がありすぎるのでは。

やんちゃしてた頃の玄徳さん、ビジュアルが、とても私のタイプでした…。

夢を見た後に花ちゃんが「昔の玄徳さんは喧嘩っ早くてすぐに手を出していたのか」という意味合いの質問を「玄徳さんは手が早かったんですか」と言ってしまって周りを勘違いさせたのが面白すぎてずっと笑ってました。

そして玄徳さんもそれを否定せず「待たない大人」を認めてしまったところが、私の今回の収穫です。

 

■雲長

私は恋戦記ではないゲームをプレイし始めたのだろうか、と思ってしまった。

現代組だからこれで当たり前なんですよね。これが「ごく普通の日常」というやつですね。

進路の話とかとても年相応な話で、穏やかで優しい空気が流れていて和みました。本の世界では見られなかった、広生くんの花ちゃん大好き具合が見られて私は満足です。同い年のカップルはやはり可愛い。

そういえば花ちゃんが広生くんの祖父と初対面した時に、「広生くんの祖父の威圧感=烏林での公瑾さんの威圧感」と考えた花ちゃん、流石です。

 

■翼徳

翼徳さんがまた頑張って成長しようとしていました。

あと酒癖の悪さが少しマシになっていてよかったです。本編の後日談を見た時は人格が統一されたような表現をされていたとはいえ、このままで大丈夫なんだろうかと思っていたので…。

まさか婚儀をあげるとは思ってもいなかったので、とてもびっくりした。婚儀のスチルが可愛すぎる。翼徳さんと花ちゃんの笑顔がとてもよい。

それとこのシナリオの芙蓉ちゃんが好きです。はっきりと物申す姿に毎回惚れてしまいます。いつも良い仕事をし過ぎである。

 

■子龍

恋の十カ条とかいうものに律儀に従うところ、やはり真面目な人だなと思った。

本編の時から思っていたけれど、子龍くんの同僚の皆さん、世話焼きですよね。今回のシナリオの世話焼き具合、とても笑わせていただきました。

あと途中までピュアな感じの雰囲気があったのに、最後に登場した数年後の子龍くんが落ち着きありすぎて、声のトーンも落ち着きが増していて、とても自分好みの見た目と喋り方で私はしんだ。

 

■孟徳

シナリオの始まり方、インパクトありすぎてずるすぎないか。

本編だけの終わり方だと「丞相」という立場に縛られている限りは本当の意味では幸せになれないだろうなと思っていたので、隠居生活という選択をしたことに少し安心しました。

花ちゃんという存在がいなければ「曹孟徳」の名を葬るなんて事は絶対にしないだろうし、一生誰も信用せず、立場に縛られたまま生きていくのでしょう。そう考えると、花ちゃんの存在って本当にすごい。どのルートでも思っている事ですが。

気を張った様子もなさそうなので、自由に、花ちゃんとただ静かに眠れているのであれば、私は、もう、それだけで幸せです…。

そういえば仕事の事はすごく有能なのに他の事は不器用すぎるという情報を与えてくるの本当にやめてほしい。その差を可愛いと思ってしまうから、勘弁してください。

 

■文若

文若さんが記憶喪失になったら、元譲さんの負担がやばいのでは…?という心配が一番に浮かんでしまった。

記憶喪失の時に花ちゃんが何者かを突っ込んでくるところ、本編で初対面した時の文若さんみたいだなと思いました。

記憶が戻った後に花ちゃんの不安定な立ち位置を確立させる為に、ちゃんと婚儀をあげようと言った文若さんがとても頼もしく感じて、ときめいた。

それにしても文若さんシナリオは、孟徳さんがいたずらっ子みたいな一面を見せてくるのが可愛かったり、元譲さんの相変わらずの間の悪さが面白かったりと、呉とはまた違う雰囲気の賑やかさで、読んでいて楽しかったです。

 

■仲謀

新婚初夜に熱出して倒れた花ちゃんの慰め方を見て、やはり私の好きなタイプの男前だなと改めて認識させられた。

今回のタイトルが「新婚初夜」だったので、遂に手を出すのかと思ったら、花ちゃんの熱が下がってからも一緒に寝ていないとはどういうことか、と思った。

あんなに婚儀まで待つとか言っていたのに、いざ婚儀を終えたら加減が出来ない気がして怖くて手が出せないとはどういうことか。

そして結局加減が出来なかった孫仲謀、大好きです。

 

■公瑾

気持ちのすれ違いによって公瑾さんと花ちゃんの間でのみ言葉が通じなくなる、と。

これ絶対お互いの意思疎通が出来なくて雰囲気悪くなるやつだ…と思った後に、予想通り意思疎通を図ることが出来ていなかったので、伝わってくれ…!と念を送りながらシナリオを読んでいました。

最終的には言葉ではなく、公瑾さんが琵琶で気持ちを伝えて、花ちゃんがその気持ちを正しく受け取るという展開を迎えたので、伝わったー!やったー!と無意識に叫んでいました。気持ちを音楽で伝える演出、とても好きです。いとみやびかなり。

仲直りして話が終わるのかと思っていたら、最後に嫉妬と独占欲を剥き出しにしてきたのはびっくりしました。しかも「こう見えて、私は嫉妬心が強いんですよ」と言い出したので、前から知ってたよ!と思わず突っ込みを入れてしまった。

大人げない感じを出してくるところ、好きです。

 

■早安

食べ物の好き嫌いが多いのは、意外でした。早安の好き嫌いを直すにはどうしたらいいんだろうと悩む花ちゃんを見て、この二人の生活がとても平和で癒されました。

あと花ちゃんの吐いた嘘に対して、気付いていないふりをして少し意地悪を仕掛けたりする姿、子どもっぽさを感じられて可愛い。

このまま幸せに暮らしていってほしい。

 

■孔明

師匠の口から「愛してます」とか「一生大切にする。ボクの人生かけて」とか、こんなに甘い言葉を聞けるなんて思っていなかった。

幸せな結末を迎える事が出来て本当に良かった…と嬉しさのあまり思わずディスプレイの前で拝んでいた。

花ちゃんが風邪をひいた時に当たり前のようにただ傍にいてくれる師匠も、朝に「起きたくない」と言った師匠に目覚めのキスをする花ちゃんも、どちらも最高か。

この幸せ空間、ずっと眺めていたい。いとあはれなり。

 

◎思いでがえし

本編補完エピソード。一人につき、三つ程度のエピソードが用意されています。

「補完」エピソードなので、とにかくシナリオが、短い。本編では見られなかった攻略対象の心情を見る事が出来たので、個人的にはとても楽しめました。

サブキャラクター視点の補完エピソードがあったのも、とても良かった。

そういえば、孟徳さんの「鳥籠」エンドの後日談と、文若さんの「毒」エンドの前日譚があった事に、驚かされました。まさかバッドエンドの続きがあるなんて…。

ハッピーエンド至上主義なので、バッドエンドの続きを見る、というのは少し辛かったです。

 

◎三都賦

「羽扇」エンドの後日談ですね。

長安遷都の祝祭で三君主が集い、花ちゃんを巡って三つ巴の戦いを繰り広げるという大変美味しいエピソードです。

花ちゃんが見た夢の方もなかなか美味しい展開だと思いました。師匠、文若さん、公瑾さんの参謀達の三つ巴の戦い、大変美味しかったです。

三君主篇は、玄徳さんと孟徳さんの仲の悪さが、とにかく見ていて楽しい。この二人の舌戦、とても好きです。あと献帝がとても可愛くて癒されます。

参謀篇は、三君主以上の舌戦が繰り広げられていて、さすが頭脳派の皆さんだ…とうっかり感心してしまいました。

三君主篇はPS2版の特典ドラマCD、参謀篇はPSP版の特典ドラマCDなので、ドラマCD未所持の方は楽しめるかと思います。

自分の場合はドラマCDを所持している為、最初は何故ゲームに収録したんだろうか…と少しもやもやした気持ちを抱いていました。しかしスチルと内容の面白さで楽しむ事が出来たので最終的には問題なかったですが、私のようにもやっとした方もいるのではなかろうか…。

 

◎三国漫遊記

各々の役目を忘れてしまった三国の世界。本来の役目を思い出させる為に、攻略対象と世直しの旅に出るお話。ギャグ要素が多くて、とても面白かったです。

このシナリオの良かった点は、本編では絡みのなかった人と攻略対象が会話をしているところを見られたこと。

そしてこのシナリオの悪かった点は、シナリオの展開が、どの攻略対象も同じだったこと。

 

一人目は、面白くて笑いながら読んでいました。

二人目も、展開が同じだなとは思ったけれど、それなりに楽しめました。

三人目からは、既読スキップ使えないの…?と思いながら読んでいました。

 

シナリオが、とても、金太郎飴です。

ほぼ同じ内容のシナリオを既読スキップを使わずに10人分読むのは、厳しすぎるのでは、と思いました。一気にシナリオを読んでしまおうとしなければ、もう少し楽しめたのかもしれません。

もう一つ悪かった点は、「永遠恋々」よりもシナリオが長めであること。

おまけ的なシナリオだと思っていたので、思っていた以上に長めで驚きました。しかも全キャラクターのシーン回収にかなり時間を取られます。読むのに最も時間を費やした気がします。

ギャグ要素が入った乙女ゲームは好きだけど、本編のその後をもっと充実させてくれた方が個人的には嬉しいです。

 

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少し納得出来ないところもありましたが、個人的にはとても楽しめました。

ただ、恋戦記本編をプレイした人に、必ず思いでがえしをプレイした方がいい、とは言えないです。

『ファンディスク』ではなくて『バラエティディスク』なので、コアなファン向け、という印象です。相当な恋戦記ファンでない限りは必ずプレイしなくても良いかもしれないですね。